武市 賢太郎ブログ ｜ 小田原(鴨宮)の美容室 サティラヘアー［Satila hair］ オフィシャルサイト
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半分は自分自身の気持ちの整理のための文章です。
7月7日。りんごが死にました。
「りんご」というのは飼ってたチワワのことです。享年14歳でした。
いつもお店にはベティを連れていっていますが、以前から愛情を注いできた娘です。
ベティも先住犬のりんごのことが大好きで、まるで本当のママのように慕っていました。
りんごとの楽しい思い出は数えきれませんが、何気ない日常にこそ幸せが詰まっていたように思います。
例えば、僕とりんごはいつも一緒の布団で眠っていました。
僕がベットに入ると、するりともぐりこんできて、右腕に小さな頭をちょこんとのせてきます。まるで毎日の決まりごとのように。そして、そんな親密な暗闇の中で朝まで一緒に眠っていました。
その時間は僕にとって、確かな幸せを実感できる時間であり、おそらくはりんごにとっても、幸せな時間だったと思います。
また、僕とりんごは休日になるとよく一緒に出かけました。散歩以外にも、ドライブしたりカフェに行ったり。
りんごは車で出かけるのが大好きで、窓から見える街並みや、季節の移り変わりを楽しんでいるように見えました。出掛ける時の意気揚々とした表情は、今でも忘れられません。
振り返ると、りんごと過ごした日々は、僕にとってとても彩りのある歳月だったように思います。
しかし同時にその歳月は、容赦なくりんごの身体を蝕んでいきました。
時間軸の違いというものは、全く無遠慮なものです。
１２歳の時に脳腫瘍になってしまいました。
痙攣発作を繰り返し、話しかけても答えることができなくなりました。いろいろ治療も施しましたが、そのうち歩くこともできなくなり、表情さえも失いました。
さらに排泄も食事も上手くできず、ほとんど寝たきり状態になってしまいました。
そんな不自由な闘病生活が２年半続きました。
そして、２０１７年7月7日の夜。
前日から、息も荒く、不吉な咳をしていたのですが、食事を終えると同時くらいに、顔がこわばり、体が痙攣し始めました。抱きかかえると、すでにグタッとしていました。焦って「りんちゃん、りんちゃん」と身体を揺すると、失禁をはじめました。
わ、おしっこで服がびしょ濡れだよ・・と思っていたら、すでに死んでいました。死後の弛緩による失禁だったのです。
それは本当にあっという間のことでした。
別れを惜しむ間もない、とてもコンパクトな死に際でした。あまりにコンパクトすぎて、死んだ実感が全く持てませんでした。
火葬までの間、りんごの遺体と一緒に寝て過ごしましたが、そのうち普通に動き出すんじゃないか？とも思いました。
しかし、そんな事はおきることもなく、二日後、近くのお寺で燃やされ、真っ白い骨になりました。
その時やっと「ああ、死んだんだな」と思いました。
骨は、とても可愛いものでした。
死後10日程経ちましたが、りんごがいなくなっても世の中は相変わらず普通に回り続けています。本当に普段どおりに。
ただ僕には、りんごのいなくなったこの世界は、まるでがらんどうのようにも思えてしまいます。
今はまだ、部屋のいろんなところにりんごの気配が感じられるものだから、 その気配だけを愛おしみながら、日々を過ごしています。
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