武市賢太郎ブログ
さて、日に日に寒くなるこの時期はファッションに合わせてヘアスタイルを変えるのも楽しみのひとつですよね。イメチェンは美容師にとって腕の見せどころでもありますし、バッサリ切らせていただく時なんて、「美容師冥利に尽きるな」と感じたりもします。
しかし、イメージを変えるにもやりたい髪型が見つからなくて、気がついた時には髪がまとまらなくなっている方や、定期的に美容室には来ても「今日はどうしたらいいんだろう…」と来るたびに悩んでしまう方も多くいらっしゃいます。その他、今のヘアスタイルがとても似合っているのに、「美容室に来たのだから何かを変えなきゃ」と強迫観念的に思っている方までいらっしゃいます。
それはその方にとって「美容室=変身するところ」みたいな図式が出来上がっているからだと思うんです。だけど僕としては、そんなに気負わずにもっと気軽にサティラヘアーを利用してもらいたいな、と常々思っていました。
そこで、今日はひとりの女性を紹介したいと思います。
【世界一のファッショニスタ】
その人物は、映画「プラダを着た悪魔」のモデルとなった、ヴォーグの編集長、アナ・ウィンターです。現在、世界一のファッショニスタと呼ばれ、「彼女の一声ですべての流行が決まる」とまで言われている人物。パリコレの日程も彼女の予定で決まり、世界中のどのスーパーモデルよりも彼女のファッションに注目が集まります。とにかくおしゃれで素敵な女性です。
そんなファッション業界のドンである彼女は、ファッションと同じようにヘアスタイルを頻繁に変えるかと思いきや、実は10代の頃から60代の現在まで一貫して同じヘアスタイル(ボブ)を貫いているんです。
ちょっと意外ですよね。
だけど、ファッションを知り尽くしてる彼女がヘアスタイルはずっと一緒、という事実には、一考の価値があると思うんです。そして、洗練された女性像のひとつとして参考になるのではないでしょうか?
【ヘアスタイルはファッションじゃない?】
日本では未だ商業主義が根強く、家でも家電でも何でも常に新しいものばかりを追い求めるように、消費を促す風潮があります。ヘアスタイルも多分に漏れず、流行のヘアスタイル特集などが毎月雑誌を賑わせ、「今の流行って何?」という視点でヘアスタイルを捉えがち。
一方欧州では自分を魅力的に見せてくれるヘアスタイルがひとつ見つかれば、それをずっと大切にする文化があります。
彼女にとってヘアスタイルは、ファッション の一部ではなく、自分自身の一部。「私を私たらしめるもの」としてヘアスタイルを確立しているのでしょう。ファッションに自分を合わせるのではなく、自分自身がファッションを着こなす、という意思の表れなのかもしれません。
兎にも角にも、これはヘアスタイルにいつも困ってしまう方にとっては朗報ではないでしょうか?
自分自身を魅力的に見せてくれるヘアスタイルをひとつでも確立できたら、ずっと同じヘアスタイルでもいいんですから。美容室には定期的にメンテナンスに来るだけ良いのです。そしてそれは、誰が何と言おうが、世界一のファッショニスタのスタンスなんです。
【マイスタンダードを確立しましょう】
「ヘアスタイルにいつも困ってしまう」という方は、来年は是非、ひとつで良いので自分自身を魅力的に見せてくれる「マイスタンダード」なヘアスタイルを確立してみてはいかがでしょうか?。ポイントは、そのヘアスタイルにした時に気分が上がるか(または気持ちが落ち着くか)どうかです。
そして、特に変化を求めていない場合は、「いつもと同じヘアスタイルで!」と自信を持ってオーダしていただければ良いと思います。
とはいえ、もちろん「一生同じヘアスタイルでいてください」というつもりはありません。時代や年齢、それぞれのステージによってイメチェンすることは新たな自分を見つけるひとつの機会ですし、僕としても大賛成です。
ただその場合も、自分自身の軸となるヘアスタイルをひとつは見つけておく事をおすすめします。冒険して違うヘアスタイルにチャレンジした場合でも、戻るべき地点がある事で安心できるし、そのヘアスタイルを軸に、年齢とともにマイナーチェンジをするだけでも良いのですから。
最後に、今回はヘアスタイルにいつも困っている方の参考になれば、という想いで書かせていただいたものです。だから「やっぱり毎回イメチェンを楽しみたい」という方や「ヘアスタイルをそんな風に固定されたくない」という方もいると思いますので、その場合は何なりとおっしゃっていただければと思います。
要はファッションの一部としてヘアスタイルを捉えるか、自分自身の一部としてヘアスタイルを捉えるか、なんです。
photo mitugu sato