武市賢太郎ブログ
辻堂にて「うみやまあひだ」を鑑賞。息をのむほど映像が美しかった。
以下レビュー
基本的には伊勢にまつわるお話。伊勢神宮には1300年もの昔から(創設は2000年以上前らしい) 式年遷宮と呼ばれる20年毎に社殿を新しく造り替える一大行事がある。最近では2013年に執り行われた。
式年遷宮で新しいお社を建てるにはたくさんの木材が必要で、木材が育つにはきれいな森が必要。きれいな森にはきれいな川が流れるから、それがやがて豊かな海になる。そんなことをテーマにしたドキュメンタリー映画でした。伊勢神宮というところは「自然の循環」という見地からも特別な場所であることを知った。
そして、そんな自然の循環の中で、自らに与えられた職分を果たしている人々。木々を育てる人、宮大工、神主など。皆それぞれに自然を敬い、それぞれに芯のあるフィロソフィーを携えて仕事をしている。
僕はその中でも、200年後、300年後という遠い未来の式年遷宮のために木々を育てている人たちがいることに驚愕した。彼らは「自分の人生の何かの達成」ではなく、木の人生?の一部 (その成長の過程) に自らの短い寿命を捧げている。そして自分たちは、あくまで自然に含まれて、その中で持ち場をまもって生きている。そして次世代に全てを継承していくスタンスで生きている。そう感じられた。
僕は日頃、「僕の人生」という時間軸で世の中に接しているけれど、彼らのそのようなスタンスや時間軸の捉え方は、美容師でも「技術の継承」という観点において見習うべき心構えかもしれない、と感じた。そういうことが結局は「文化」と呼ばれるものになるのかもしれない、とも。
好むと好まざるにかかわらず、僕たち日本人には「自然との共生」や「文化の継承」という思想が遺伝子に深く刻みこまれているのかもしれません。
※映画としては、写真家が監督だけに映像美が素晴らしい。観てるだけでなんだか浄化されていくような気分に。知的好奇心を満たしてくれる点においても良い。エンターテイメント性を求めて観に行くとがっかりすると思うので要注意。
武市賢太郎
以下は僕が今年の初詣で伊勢に行った時の写真